はじめに 本ページは、 「ドブネズミ達のハローワールド」(通称ドブハロ)用に作成したキャラクター、 サイモフェン(PL:くらい) と ユピテル(PL:餅村) のキャラ設定・作品保管庫です。 “無尽蔵に湧き出す《迷宮》を破壊せよ” そのようにして国から集められた冒険者たち。 金を手に入れる為に攻略に乗り出した非力な男・サイモフェンと、 主の行方を捜す護衛用ホムンクルスの少年・ユピテルは、 冒険者として参加した迷宮攻略の中で初めて出会います。 サイモフェンは「ガキのクセにこんなトコに一人でいるなんて」という心配から、 ユピテルは「この人弱そうだな」という護衛用ホムンクルスとしての本能から。 本来の主を欠いたホムンクルスは、このお節介な兄貴分を仮初の主とし、 守り共に行動していくようになります。 迷宮攻略の期間を終えても、 サイモフェンの目的である“妹を故郷から連れ出す”時も、 彼がお店を持ってそこに根を張り、過ごすようになってからも。 彼らはいつしか、互いを切り離すことの出来ない相棒関係となっていました。 そんな二人の男たちの、とりとめのない断片的な作品庫です。 |
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1 ドブネズミ達のハローワールド Chi trova un amico trova un tesoro. サイモフェン22歳 / ユピテル12歳 青年は金が必要だった。 故郷の因習に巻き込まれる妹を、外の世界に迎え入れる為に。 そんな時に彼の耳に入ってきたのは、 報酬の約束された迷宮攻略の仕事だった。 報酬を求めて冒険者として名乗りを上げた青年サイモフェンと、 姿を消した創造主を探して彷徨う、美しいホムンクルスの少年ユピテルの、 出会いの物語。 |
2 満ちる月影、祈り歌果てて Al cuore non si comanda. サイモフェン27歳 / ユピテル17歳 / ルーナエ15歳 その辺境の集落は、月の女神を敬愛していた。 月の女神はかれらの信仰に応え、恵みと使いをもたらす。 使いの乙女は、《月のいとし子》と呼ばれた。 いとし子は考え得る全ての幸せをもって愛される。 そして、15をむかえる満月の夜、 民の感謝を一心に受けて女神の元へかえらねばならない。 それが掟だった。百年に一度の、いとなみ。 ――いとし子ルーナエは、15の満月の夜を迎えようとしていた。 祭祀場の大空洞に祈りの歌が響く。頭を垂れる乙女。細い脚に繋がれる枷。 時が、満ちた。――その時、影が落ちる。 「動くな。動くとこの人を殺します」 気が付けば、祭祀長の首に剣をあてがう金髪の少年。 動けぬ民。その前に姿を現す深緑色の髪の男。 「……妙な素振りも見せんなよ。俺は本気だ」 それは、人柱となる妹を救い出すために舞い戻ったかつての同胞、 サイモフェンだった。 「そんな事をして許されるとでも思ってるのか」 「女神の加護が失われる、お前にも罰が下るぞ」 言い募る民達に、サイモフェンは、は、と笑う。 「女神サマは何にも言いやしねえよ。一度でも聞いた事があったか?」 外の世界に夢をみて故郷を飛び出した青年サイモフェンと、 因習にとらわれた《調律師の村》の民たちの、決別の物語。 |
3 月灯の羅針盤 Penso, dunque sono. サイモフェン27歳 / ユピテル17歳 / ルーナエ15歳 ――路地裏の情報屋サイモフェンと、その美しき懐刀ユピテル。 その二人組は裏の界隈では有名だった。 鉱石屋《月灯の羅針盤》を構えてからも、やはり金は必要だった。 サイモフェンは相棒のユピテルと共に冒険者稼業に身を投じる傍ら、 ギルドの依頼で裏稼業もこなす。 治安の悪い路地裏のこと、地域の掌握は先手を打って身を守る術だ。 そう信じて自分達の居場所を守る為にこなしてきた仕事のために、 仲間も増えたが、一方で敵も増えていく事になる。 ある時、彼らの命をつけ狙う刺客として、 ユピテルの前に”絶対に存在しないはずの者”が現れる。 それは――かつて探し求めた、今は亡き創造主の姿だった。 有り得ざる事だと分かっていながら、 被造物として、――そして敬愛から、ユピテルは偽の主を選ぶ。 命を狙われるサイモフェン。 剣を突き付けながらも、殺める事のできないユピテル。 対峙する2人。 「――お前が本当にそれで幸せなのなら俺は止めねえよ、 どのみち俺にゃあ戦う力はねえし、勝ち目はねえ。ココで終わりだ。 ――けどな。教えろよ。"それ"が、本当にお前の望むコトか」 絶対絶命の状況で、問うサイモフェン。 「それなら、それでいい。くれてやるよ、俺の命を。 だから――答えろッ! ユピッ!」 自らの運命を選択した者たちと、 砕かれる制約の鎖の物語。 「……要らないですよ。あなたの命なんて」 |
4 太陽と流れ星 Quando si ama, anche i sassi diventano stelle. ゆぴ死エピソード決まってないけどむねあつだよな |
5 紡がれる縒り糸、呼び声は微か Ognuno ha la sua croce. “今度は、あなたのために生きてください。 あなたが望むように、あなたの人生を。いつか、きっと――” その辺境の集落にはとある伝承があった。 《太陽の呪いを受けた男》“サイモフェン”という名の男の逸話。 かつて猫目の金緑石を携えた男が、月の女神に抗い村を破滅に導いた。 民達は力を合わせなんとか男を洞窟の外に追放し、 太陽の呪いを受けた男は、二度と月の祝福を得ることはなかったのだという。 さて、その村で伝承を聞きながら育ったこどもがひとり。 滅びを司る呪いの石、“金緑石”と運命を縒り合わせ生まれたその子は、 その伝承ゆえに、かれ自身の守護石を与えられることはなかった。 その伝承があったから。金緑石なんかの加護を得て生まれてしまったから。 自分に課せられた運命を呪い、少年は悲嘆にくれる。 ――そんな少年ルースの前に、あり得ざる存在が姿を現す。 この世界の全てである洞窟の外からやってきたという、一人の美しい青年。 「君とどこかで、出会ったことがありますか?」 そう穏和に微笑む金髪の青年。少年はしばし立ち尽くした。 「太陽の呪い。そんなものは、ありませんよ。行ってみますか、外の世界に」 青年の問いに、戸惑う少年。青年はくすりと微笑んだ。 「自分の運命は、自分で決めるものです。 ――昔。誰かが、そう言っていました」 記憶をなくした美しい青年と、 呪い石に運命を縛り付けられた少年は旅路をゆく。 微かな記憶をさがして、運命の縒り糸を辿る。 そして2人は、いつか辿り着く。 太陽に呪われた男と、かつて流れて消えた星の在り処に。 |