story

　故郷から妹を救い出して１年が経った。

　無事とは言えなかった。
　相棒であり仮初の従者であるユピテルを連れて乗り込んだ故郷。
　大空洞は、まさに儀式のさなかであった。

　サイモフェンの故郷の民は迷信深い。
　この儀式を失敗に終わらせてしまえば、
　この村に未来はないと、本気で信じ込んでいる。

　そこから人柱である妹ルーナエを奪い去るのだ、
　どんな有様になったかは想像に難くないだろう。

　幼い頃は愛した家族たちの怒号、阿鼻叫喚、
　不安げに見上げる妹、
　それでもサイモフェンは決行した。

　滅びるなら滅びてしまえばいいと思った。
　神に縋り現状を貪るのなら、この村に未来はないのだから。


　――そう、それから１年。

　胸をちくりと刺すような後悔は無いでもない。
　けれど、サイモフェンは考えない事にした。

　考えるべきことはいくらでもある。

　せっかく手に入れた住居兼店舗だが、売り上げは乏しいし家賃は高い。
　日に日に増えていく荒事依頼の数々。
　金の問題はいつだって頭が痛い。

　自分が街で立ち回っているお陰でルーナエも今は安穏と暮らしているが、
　それでもいつか、自分の元を巣立たせねばならないだろう。
　彼女が彼女らしく生きられる、温かで穏やかな世界に。

　考えるべきことはいくらでもある。

「モフェンモフェンいる！？」

　外から近所の悪童の声が聞こえる。
　どうやら懐かれてしまったようで、お構いなしによく遊びに来る。
　頭をくしゃりと掻いて、まどろんでいた寝床から起き上がる。

　――考えるべきことはいくらでもあるが。
　
　一つの物語に、ようやく区切りがついたのだろう。
　これからまた違う物語が始まるのだとしても、

　――今はただ、微睡みを許されてもいいだろう？

　などと胸中でごちながら、
　彼は今日も何気ない日々に身を投じるのだろう。

　容姿にまつわるもの


　　　　
　　　　
hair　：　天鵞絨（びろうど）色
eyes　：　あかるい金緑

色白で華奢だが、背丈はそこそこ高い。
猫を思わせるまなざし。睫毛が長い。
黙っていれば顔立ちが整っている事に気付くかもしれない。
指は長く繊細で、非常に器用。
指先まで動きに気を配っている様子がみられる。

非情に姿勢が良く、堂々とした印象を受けるかもしれない。

地毛は金緑色だが、染めている。
本来生まれ持った色素の薄さは洞窟の中で栄えた民の血によるもの。
肌も陽光に弱く、光の中での視力もおぼつかないため、
肌を隠す装束を好み、遮光眼鏡を常に携帯する。
が、彼自身の見た目の好みの問題で、不必要な場合つけないことも多い。
自分の服飾のセンスは気に入っている。

表情がくるくると変わる。快活でよく笑う。
しばしば大人気ない顔をしているため、
普段付き合いのある者達からは三枚目扱いされがち。


　家族など


・昔の仕事で出会った相棒・ホムンクルスのユピテル
・故郷から連れ出した義妹・ルーナエ

この二人と共に住居兼店舗で暮らしている。


相棒のユピテルには普段客引き・家事などを任せている。
感謝はしているものの、してもらっている割に態度が大きい。

普段は口喧嘩に近い会話をしているが、
戦闘中は阿吽の呼吸で行動しているのがみられる。

元々戦う能力の乏しいサイモフェンは、判断とユピテルの補佐／援護に徹している。
主の判断と指示を瞬時に行動に移す従者ユピテルの存在は、
サイモフェンの戦闘行為／交渉活動の要となっている。

従者として道具として働くユピテルの扱いに長ける一方で、
出会ったばかりの小さなユピテルの中にみたアンバランスな子供らしさも覚えており、
この少年を道具のように使うことに対して時折躊躇いを見せる事がある。

彼に人間らしい幸せを与えてやりたい一方で、
自分を道具と定めるこの少年の意識に変わりがないのを知る度、
思案する様子がみられる。




　生活


闇の中で生きる洞窟の民の血を引くため、
陽光下での生活を避けている。

そのため自然と朝に眠り夜起きる暮らしをしており、
店を開けるのも日が落ちてからになることが多い。
ちなみに店の売り上げは非常に乏しい為、
それ以外の仕事で何とか家賃を稼いでいる。

生活時間の関係で、若い頃から後ろ暗い生活をする者たちとの交流が深い。
割のいい仕事として後ろ暗い仕事も舞い込む事があり、
仕事の選り好みはあるものの、諜報や暗殺を引き受ける事もある。
そういった仕事は妹にはひた隠しにしており、
何とか妹にだけはまっとうな人生を送らせてやりたいと考えている。

戦闘を伴わない活動の場合は、
相棒のユピテルは妹の傍に残して単独活動しようとする事が多い。


　人柄


警戒が必要ないと判断した場合は非常にフランクで、愛嬌がある。
初対面であろうと旧知の友であるかのように人懐こい表情を見せ、
面倒見もよく、相手の事情に踏み込む事にも躊躇いがない。

反面、引き際も弁えており、
他人の事情に巻き込まれるのを軽率にはよしとせず、
口は大きいが自分に責任の取れない範囲の事は請け負おうとしない。

自信家だが、その自信に見合う努力家。
常に自分の思う「格好良い男」である為に努力を惜しまない。

その所作も外見も、彼の持つ技能の多くも、
彼の絶え間ない努力の賜物である。
しかし彼自身は努力家の面を他人に見せることを嫌い、
生まれながらの天才にして完成形であるように相手に見せることを好む。

そうした見栄っ張りな面と独立心の高さ故に、
他人に甘えを見せる事が出来ない。

時折娼館に通う様子が見られるが、
決して自分に踏み込まず、明確な線引きをしてくれる相手に
寄りかかりたい欲求からかもしれない。

その関係性以上を相手が求めてきた時には、
責任が取れないからとその相手から身を引こうとする男である。


相変わらず子供と遊ぶのは好きなようで、
路地裏の悪童に懐かれ、相手をしている姿がよく見られる。
よく子供相手に大人げのない顔をしてはいるものの、
自分の年齢のせいもあり、子供達に対する己の行動の責任は意識している様子がみられる。

（※故郷で長いこと自分が年下だった反動もあり、兄貴分ぶりたいところがみられる）


　特性


　strong point
　夜目がきく。
　手先が器用で観察眼があり、話術に長ける。
　　
　　　・調査や罠・鍵の解除
　　　・不意打ちでの一撃
　　　・交渉
　
　上記のような行動は彼の得意分野。

　weak point
　強い光の中では行動を制限される。
　肌が陽光に弱い為、普段からなるべく日の高い時間を避ける。
　突然強い光にさらされた場合、咄嗟に防御反応をみせる。
　体力がなく、非力。持久力に欠ける。


　skill　石の加護


　その出自から、鉱石に波長を合わせて発動する力を使う事が出来る。
　サイモフェンは特に感覚に干渉する力を好んで用いる。

　ユピテルより得た人体についての知識を用いて、
　感覚の麻痺や先鋭化させ、己や仲間を補助し、
　或いは敵対者に徹底的な痛みを与える環境を作り上げる。

　非常に強力な能力だが、
　彼自身、戦いの中での決定打に欠けており、
　一人で戦うには不向き。サポートタイプ。


　skill　石の加護ex1：守護石クリソベリル


　故郷で子供の頃に守護石として与えられたクリソベリルの力故に、
　微かな予知能力を見せる事がある。
　しかしながら意図的に扱う事はあまりに難しく、
　多くの場合は「勘の良さ」として不意にあらわれる。


　skill　石の加護ex2：石の声


　鉱石に波長を合わせる事で、
　残された記憶を微かに読み取る事が出来る。
　痕跡は断片的。


　その他


　投げナイフやカードの扱い、イカサマ、コイン投げ、
　ありとあらゆる格好良いアクションを習得している。

　習得の理由は「格好良いから」であるが、
　投げナイフは戦闘で用いる事も多い。